マザーアースのパートナー企業様の声

Voice of partner companies

共生社会の実現の為には「障害のある人もない人も共に働く事」が必要です。ここではマザーアースが常日頃協力をお願いしているパートナー企業様をご紹介します。

Case 02
ケース2
株式会社 三和商会 鈴木 様(右)

三和商会様は同じ新発田市で食品トレーを始め厨房用品や店舗装飾品等を販売する包装資材商社です。そして業務の委託、実習の受け入れから、障がい者雇用に至るまで、マザーアースの強力なパートナーです。今回は社長の鈴木様、そしてマザーアースの移行支援を通じて就労したIさんと一緒にお話を聞きました。

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障がい者とのかかわりは

鈴木: もともと企業経営の現場では、障がい者とのかかわりはほとんど経験はありませんでした。昔に青年会議所に参加しているときに、青少年育成事業などで障害をもった方たちに対して何が出るか、を考えたことがあるくらいで、具体的に何をしたかは覚えてないぐらいでした。

秦: 何となく社会的に問題があることは理解しているけれど、自社の事業とのかかわりについては今一つわからない、どういう距離感をとっていいかわからない、といった感じでしょうか。社長が障がい者と関わる事の意義とはどうお考えでしょうか。

鈴木: うちの従業員に、他人の気持ちを考えられる人になってもらいたい、様々な境遇の人が入る事で、世の中は多様で、自分の視点でものを考えるのではなくて、相手の視点で考えられるような教育の場として、もしそういう人がいたならば、とは漠然と考えていました。

マザーアースとの接点

鈴木: マザーアースさんとは、うちの職員の紹介で、二週間ほど職場体験として受け入れてほしい、という事で、それがきっかけでした。私が顔を出して、打ち合わせをした際にお茶を運んできたのがIさんだったんです。それで、明日合同面接会がある、という事だったので、私の前で面接の練習をしてみたらどうですか、という事で練習してもらった、それがきっかけだったんです。

秦: その時は特に採用しようとは思ってなかったんですか?

鈴木: そうです。その後職員さんから、実習に行くのはIさんです、と聞かされました。何か縁は感じましたね。

秦: その時の事はIさんはおぼえていますか?

I: はい、たまたまお茶出しの当番だったので、ただ出しただけだったのですけど。

秦: 実際関わっていく中でどうでしたか?

鈴木: お互いに最初の頃は、Iさんが働いた経験がなかった事もあり、不安だったと思います。我々も、とにかく声はかけようという事を一番に意識していました。不安にさせないように。最初の頃はなかなか会話も続かなかったり、お互いにそういう面もあったとは思います、今はもう誰とでも話すし、今朝礼でも前に出て司会するから、振り返ってみればあの時は何だったのだろう、とは思います。

インタビューの様子
今の仕事について

秦: Iさんは今どういう仕事をしているのですか。

鈴木: 朝は楽天の注文が入った商品を仕分けして梱包して出荷、そのあとに発送したお客様に発送メールを送るのですがそれをしてもらう。それが終わると容器などの小分け作業をやってもらっています。

I: もともと初めはこの小分け作業がほとんどだったのです。

秦: 初めに比較的やりやすい仕事をご用意いただいていたと。そこからちょっとずつ増やしていったという事ですね。

鈴木: そうです、Iさんはパソコン、というかゲームが得意だから、だったらパソコンの操作も得意だろうという事で発送メールの送信をやってみないか、という事で始めたんです。だから得意なものは何かな、という事をいろいろと話し合った中で、まずはこれができるかな、でやってもらっています。

秦: Iさんはマザーアースにいた頃と今とでは、何か変化した事はありますか?

I: やっぱりマザーアースにいたときよりは、業務も多いし、マザーアースでは、訓練なので、就職して仕事となると、お客さんに関わるので、責任も生じるし、ミスしたら大変だし、ミスしないようにという意識はマザーアースにいた頃よりも高いです。

秦: マザーアースでは訓練なので、ミスしても次は気をつけようね、で終わりますからね。

I: 職員さんたちもフォローしてくれるし。もちろん今も社長や他の社員の方もフォローしてくれるのですが、やはり訓練ではないので、仕事に対する責任感は全然違います。

秦: 仕事をしていて楽しいなと思うのはどんな瞬間ですか。

I: 毎日やっているけど、毎日若干違うところも面白いところですね。
最初は就職できるかどうか不安な毎日でしたが、毎日仕事があることで安心感もありますし、就職できてよかったなと思いますし、毎日仕事を与えてもらえているので、それの期待に応えたいなと思って一生懸命やっています。

鈴木: 本当に一生懸命で、8:30から15:30までの勤務なのですが、残り5分しかないのに、何しましょうか、とくるんですね。普通は、最後まで残りの時間やり通す、というのがなかなかできないし、うちの従業員も見習わなければならない事なんですね。 今Iさんがいないと回らない状況ですし、前よりもIさんが来てからは笑いのある会社になったんです。

インタビューの様子
今後について

秦: Iさんとしては今後どういう成長をしていきたいですか。

I: 今やっている仕事の精度と速度をまずは上げていきたいです。もっと早く作業できるようになれば、時間も早く終わって他の事もできるし、今楽天の仕事で一日の大半がおわってしまっているので、今までやっていた小分けの仕事もやる時間が少ないかなと思っていて、働く時間を増やす事ができればよいのかな、と思っていて。社長も他の仕事があるから、自分が助けられるようにとか考えています。

秦: すばらしいですね。

鈴木: こういう事をいう事自体が成長なのですよね。

鈴木: やっぱり障がい者の事をどれだけ見れるか、付き添えるかという部分で、こういった会話をする事で、いえるような関係性というか、そういうものがないとなかなか一人で考え込んでしまったりして。

秦: 我々もサポートはするのですけれど、企業が、それもトップが、そういった事をやるんだという意識でやっていただけると、非常にありがたいです。

鈴木: それと、マザーアースさんが一カ月に一回来ていただいて、それは非常に大きいですよ。今続いているのはそういった部分だし、Iさんもマザーアースに行ったりして、そこで相談したりしていて。 その子の性格や能力を企業側がしっかりと理解する、それをしないで、いきなり、じゃあこれをやって、とか言ってもそこでつまづいてしまう。そうなると会社に行きたくない、となる事もありうるので、やっぱり徐々に段階を踏んでいくように取り組んでいくほうが、いいのかなと。

秦: それって障がい者だから特別にこうするとかではなくて、普通にすべての新人にやらなければならない事だったりしますね。基本的には同じてすね。特別な技術とかノウハウとか知識がいる、と思ってらっしゃる方が結構いるのですが、むしろ、発達障害はこういう障害だから、こういうところがだめだよねとなってしまったりして。もちろん最低限の知識はいるのですが、知識や経験があることによってその人をちゃんと見れない、という事もあって、その人その人それぞれなので、ちゃんと見てあげる気持ちって、福祉側の支援のノウハウとかではなくて、企業側の思いで十分かなって思います。

鈴木: 本来であれば能力があってできる仕事でも、企業側がそれをさせていないという事もあるかもしれませんね。

秦: それは本当にあると思います。今日はありがとうございました。